2010年06月22日

2010年題詠百首

001:春

「見ていてね」ブルームーンに呼びかける春を待たずに旅立った君

002:暇

暇なのか忙しいのかわからない日を過ごしてる声をかけてよ

003:公園

冬桜ひっそりと咲く公園で携帯抱いて咽び泣く女性(ひと)

004:疑

疑いの森で出会った主なる神したがい行けば光あふれる

005:乗

地球号に乗り合わせてどこへ行く?てんでばらばら舵を握って

006:サイン

わかってる返事のないのがサインだね君に会えた寂しくはない

007:決

後悔はしないと誓う決めたのは自分だ西の空に夕焼け

008:南北

南北が隔たるように遠い君ぼくには歌うしか術はなく

009:菜

もしあたし菜々ちゃんなんて名だったら違う人生 でも君がいる

010:かけら

あまりにも小さなかけら あなたを満たすこともできず転げ落ちる

011:青

空の青に溶けるくらい海の藍に染まるくらいまっすぐ生きよ

012:穏

穏やかに暮れて行く日に感謝と懺悔を 同じ地球に生まれて

013:元気

年賀状「お元気ですか」の他には何も浮かばず遠ざかる人

014:接

「だが」「しかし」「けれども」「でも」逆説の接続詞ばかり好む傾向

015:ガール

亡き父とガールスカウトを頼りに少女は駆ける涙こらえて

016:館

タイトルに惹かれ幾度も手にしたが未だ未読の『緑の館』

017:最近

ひとりには最近慣れた時折わたしの窓をたたく人がいる

018:京

東京の田舎に住んで憧れています故郷に続く青空

019:押

ぬくもりの残る布団に唇を押し当てている君が好きだよ

020:まぐれ

はっとして君を見つめた まぐれとは思えなかった天の配剤

021:狐

北狐の住む富良野を夢に見た それほど身近な「北の家族」

022:カレンダー

カレンダーはあの日のまま あなたの逝った日に 時きざむのを忘れ

023:魂

格調の高い短歌はつくれない せめて魂ひとひら君に

024:相撲

相撲では誰より強い力士でもバッシングには勝つ術がなく

025:環

立ち尽くす わたしの周りを時だけが循環する いつか会えるね

026:丸

ふんわりと抱き締めあって見つめあい丸い地球は笑顔が似合う

027:そわそわ

そわそわは期待している わくわくは夢を見ている ああ生きている

028:陰

不得意な社交全般ひとまかせ君の陰ならスマイルだけで

029:利用

冷やご飯 利用し焼いたうす焼きは 三時のおやつ おふくろの味

030:秤

ふらふらと右に左に揺れている わたしのうちの天秤ばかり

031:SF

SFは夢物語と思えた日本の国に自然があふれ

032:苦

ほろ苦いチョコをあげるわ気持ちを込めて作った察してちょうだい

033:みかん

君と行く道の果てには照るだろう みかんの色の主の臨在が

034:孫

孫という字ふたつみっつ踊るのでちょっと複雑です年賀状

035:金

金よりも大切なものあるはずと知ってはいるが行いは別

036:正義

この世界つくられた神以外には正義はないと決めよ心に

037:奥

奥深く誰も分け入ることのない場所まで届く言葉求めん

038:空耳

遠くなるあなたの声が恋しくて空耳でもと切なく願う

039:怠

怠惰とか勤勉とかこだわらずただ今この時生きられたなら

040:レンズ

ぎこちなくポーズをとると微笑んだレンズを通し君ぼくだけの

041:鉛

きりもなく鉛の色の彼方から降りてくる この雪の行列

042:学者

学生と学者の似合う古い街カツンカツンと足音響く

043:剥

薄皮が剥がれるように何者か質されていく準備はまだか

044:ペット

子どもを自分のペットと勘違い愛情という名の蜘蛛の糸

045:群

街中の裸木にスズメの群れ鈴なりになって明るさ極まる

046:じゃんけん

幼き日の思い出には じゃんけんと歓声 砂遊びするわたし

047:蒸

蒸しタオル渡され顔がほころぶ汗ばんだシャツ コーヒーの香り

048:来世

来世など頼みにせず一期一会の今を生きよ心が語る

049:袋

「生きていれば今日で99お袋の誕生日だ」君は笑顔で

050:虹

怒る泣く笑う微笑む満ち足りる あなたにかかる虹を見ている

051:番号

片想いしていた彼を番号で呼んでいた友 笑いさざめき

052:婆

ふわふわと波間漂う日常を重ね老婆になるもまた良し

053:ぽかん

うすぼけたルーティーンから抜け出して空を仰げば小春がぽかん

054:戯

息子だけ遊戯の輪から逃げ出して芝生を駆ける わたしの子だわ

055:アメリカ

アメリカの傘に身を寄せ安逸を貪ってきたツケが山積

056:枯

枯れてゆく器潤す沸々と湧き出る泉イエス・キリスト

057:台所

台所から呼ぶ声は聞かぬふり 今いいところ まだ行けません

058:脳

男脳左脳の強い自分だと知って納得それでどうする

059:病

「うつ病になってよかった」突き抜けたからこそ言える それまで生きよ

060:漫画

「漫画でも読まぬより良い」担任の言葉そこだけ忠実遵守

061:奴

そんな奴だったね あいつ 澄んだ眼で斜に見つめて 独り気取って

062:ネクタイ

胸元の白い模様がネクタイに似ていてちょっとお洒落な子猫

063:仏

物言わぬ祖父は仏の御姿か我慈しむ眼差しのまま

064:ふたご

寄り添って昔話を幾度でも一卵性のふたごのように

065:骨

骨董屋 陳列台で待ちぼうけ誰かあたしを買ってください

066:雛

お雛さま今年も会えて嬉しくて飽きず眺める菱餅どうぞ

067:匿名

匿名で想い並べて昇華する君はそのまま凛としていて

068:怒

銃弾のような怒りを浴びている君をここまで追いつめたのか

069:島

ぷかぷかと青いお空に浮かんでる島を巡れば あなたに会える

070:白衣

白衣への幻想徐々に消えてゆき不信ばかりが大手を振るう

071:褪

モノクロに変わったはずの思い出の褪せない色は我の道標

072:コップ

取り返しつかない過去は水色のコップに入れて斜に眺める

073:弁

弁の立つことよりまずは誠意でしょ「負けるが勝ち」と諺にある

074:あとがき

憧れに宿る薫香慈しみ あとがき添える恋もまた良し

075:微

賜りし生を謳歌し道端の花は微笑む誰も妬まず

076:スーパー

スーパーやコンビニのない世の中に流れる空気懐かしくなり

077:対

対話にはならない人と諦めて口を閉ざした闇を見つめた

078:指紋

指紋より深くこの身に刻まれた君との月日 我を育む

079:第

第一にすべきお方をうち忘れ我を求めた愚かさ弱さ

080:夜

永遠にやがて目覚める夜は消え静かな笑みと光あふれる

081:シェフ

君からの呼び出しいつも訳ありでシェフのおススメ味わう間なし

082:弾

道端の花の辺りで弾む声お日さま出たよ涼風吹くよ

083:孤独

人と人つなぐ手段は進化して独りぼっちの孤独は募る

084:千

青々と樹齢千年のクスノキ大宰府守り生命(いのち)を放つ

085:訛

父の声きいた途端にふと口をついて出てくる故郷訛り

086:水たまり

水無月の桜並木に水たまり彼方の世界写す絵手紙

087:麗

年経ても変わることない主の愛よその麗しさに憩い宿る

088:マニキュア

マニキュアに彼は惹かれて行きました裸の爪に息吹きかける

089:泡

一瞬で泡と消えゆく恋だから今この時に生きんと思う

090:恐怖

聖書より己の中で渦を巻く恐怖の方が主権を握る

091:旅

行き先の見えない旅も君となら歩いていける笑っていける

092:烈

内にある烈しさ誰も知らないで温和な人と評されており

093:全部

わかってる全部丸ごと受け止めてほしい君は自分でいっぱい

094:底

底辺の人に寄り添い生きられた闇を貫くまことの光

095:黒

天使にも白い黒いがあるらしく今日はなにやら黒が優勢

096:交差

ツイッター ネットの上の交差点 誰も彼もが小走りに行く

097:換

理不尽に思われようと交換はできない 自分の生を生きよ

098:腕

両腕に迷える羊 抱いた主の御声(みこえ)聴きつつ今日も歩まん

099:イコール

「子の幸と良い教育を受けさせることはイコール」という信仰

100:福

お多福という紫陽花の丸い萼 水滴ためて緑を映す






posted by akari at 19:55| 2010年 | 更新情報をチェックする